まるで、阿弥陀様のようなお方

毎朝の晨朝勤行の際、遠方にいらっしゃる方と携帯電話を通話状態にして、一緒にお勤めしています。その方は以前吉崎に少しの期間住んでいらしたとき、毎朝お掃除を手伝ってくださり、晨朝勤行にも欠かさずお参りに来られていた方でした。

いつも喚鐘を鳴らす前にこちらから電話をかけて、お互いに「よろしくお願いします」とあいさつし、携帯をスピーカーフォンにして外陣に置いておきます。ですので、お勤め中には微かに外陣からその方の声が聞こえてきます。まるで今でも振り返ればその方がいらっしゃるような気がする時があります。

さて、先ほど吉崎に帰って、もうお昼になってしまいましたけど、吉崎でのおあさじをしました。その際、いつも通りその方に電話をかけるとすぐに「はいはいー!」と元気な声が聞こえてきました。

昨日お電話した際に「明日は時間が分かりませんけど吉崎に帰ったらお勤めするので~」とお話ししていたのですが、その方は、繕い物をしながら、今か今かとずっとお仏壇の前で電話を待っていらしたそうです。

そして、いつも通り本堂で正信偈和讃、中宗堂で讃仏偈のお勤めを終え、今朝の御文章を拝読し、短いお話し(たいていその日に拝読した御文章のことを簡単にお話ししています)をすると、携帯から「ナンマンダブ ナンマンダブ ナンマンダブ ……」とささやくようにとめどなくお念仏が聞こえてきます。

最後に領解文を一緒に出言してお互いに「ありがとうございました」と言い合っていると、「何かいいことありました?」と尋ねられました。

毎朝電話で話しているので、慈海の調子を一番よくご存じなのは、もしかするとその方かもしれません。調子が悪い時にはそれを察知して心配そうな声で尋ねてくださるし、ちょっと凹んでいるときにも「だいじょうぶ?」と悲しそうな声でまた心配してくださいます。そして今日みたいにうれしいことがあったりすると、とてもうれしそうな、明るい声で「何かいいことありました?」と尋ねてくださいます。

今日は、特にいいことがあったわけではないのですけど、こうして慈海が吉崎に帰るのを待っていてくださって、一緒にお勤めしてくださるのがうれしかったので、ついつい声も大きくなっていたかもしれません。その方にそう伝えると「こちらこそ本当にありがとう」と何度も何度も言ってくださいます。こちらも何度も何度も「ありがとうございます」と繰り返します。ひとしきり「ありがとう」の応酬がつづいて、ではまた明日朝にと電話を切りました。

まるで、阿弥陀様のようなお方です。
電話をかけて「はいはいー!」と声が聞こえるたびに、なんだか励まされている気がして、シャッキリせんとなぁと気持ちが引き締まります。

なんまんだぶ