懐かしい声
風呂にはいるとき、湯船にゆっくり浸かるときは、携帯を持ち込んで、法話やら、師と法談している時に録音したものを聴いていたりしている事が多い。
今日は冷えた。
なので、ゆっくり湯船に浸かろうと湯船に湯を貯める前に、本物の御法話をじっくりお聴聞したいなと思い、梯和上のご法話音源を引っ張り出してきて、再度携帯に突っ込んでみた。
どれを聴こうかなと、あれこれ出だしを再生していると、染香人のご和讃を御讃題に頂戴されているご法話が耳に止まった。
ああ懐かしいなと、そのまま風呂にはいるのも忘れてじっと聞き入る。
何度も何度も聞いたご法話だ。
サラリーマンの時、満員電車の車内で、思わずお念仏をつぶやいて、隣に立っていたの綺麗なお姉さんやらおじさんやらに、ぎょっとした顔で見つめられたのが、この御法話だった気がする。
あれから何年経ったか。
一昨年のこと、福井の千福寺さんで、梯和上の勉強会が開催されるからどう?と河久保道場の水上さんに誘われ、初めて梯和上にお会いすることができた。
勉強会の途中、「あぁ、あの時の声の主が、今まさに、目の前に立っている」と心が震えた。
その梯和上も、先日お浄土の住人となられたそうだ。
なんまんだぶ なんまんだぶ なんまんだぶ
今称えているこの声の主を、いずれ慈海もまた、眼のあたりに見たてまつる時が来るのだろうか。
懐かしい、念仏の声を、先んじて、ほんの少しだけよろこぶ。
ご開山のようには慶べないけど、毛の先ほどだけ。
なんまんだぶ なんまんだぶ なんまんだぶ