お取り次ぎしたご法話を録音しておいて、実家に寄った際に父母と一緒にそれを聞く(お聴聞する)のが、最近の恒例になっている。
父は聞きながら「うーん」と唸ったり「早口やなぁ」とダメ出ししながら聞いている。
母は始終手を合わせっぱなしでお念仏しながら聞いている。
最後のご文章拝読のところに差し掛かると、父は寸評が始まる。母は一緒になってご文章を諳じる。
「うるさい!肝要はご文章や。黙って最後まで聞きね!」と慈海が言うと、父はゴニョゴニョ言って口を閉ざすが、母は小さい声でそれでも諳じ続ける。
「ご文章は聞きもんやで、お母さんも聞いてねの」
と言うと
「ほんでも、聞こえると出てきてまうんやもん。」
と母が悲しそうに言う。
聞いてないのは慈海だったと気づく。
なんまんだぶ