やっぱり、もしかすると、ほんとうに、夢を見ているのかもしれません。

ツツジの時期が終わったので、念力門前の松とツツジを剪定しました。

ここで作業しているといろんな方から声をかけられます。

まだ途中だけどそろそろ今日は終いにしようかと片付けていたら、「まだお参りできますか?」と、見たところ齢九十を越えていそうなご夫婦に声をかけられました。

「どうぞどうぞ。まだ開けておりますよ。ごゆっくりお参りください。」とお返事すると、旦那様のほうは杖を付きながら階段を一段一段足が地についているのを確認するようにゆっくりゆっくりと登って行かれました。

お帰りのとき、もしかすると手を必要とされるかなと思い、もう少し作業を続けながら戻られるのを待っていました。

三十分ほどするとカツン…カツン…と杖の音を鳴らしながらご夫婦が戻られてきました。

「お昼に目が覚めて、ちょっと出掛けようかと来てみたんです。」静かにそうおっしゃって、じっと本堂の方を眺めていらっしゃいます。

「ゆっくりあみださまとお話しできましたか?」

「ええ。また来れるかわかりませんしねぇ」

ありがとうございましたと去っていかれたご夫婦に手を合わせて見送り、片付けを再開しながら、なんだか今、夢を見ているような気持ちになったので、「なんまんだぶ なんまんだぶ なんまんだぶ」と少し大きく声を出すと、御山の方からウグイスが盛んに鳴き始めました。

やっぱり、もしかすると、ほんとうに、夢を見ているのかもしれません。

なんまんだぶ