俺みたいなクソいつ死んでもいいんやけど
今朝「おーーーい!入道!!!おらんかぁーーー!」とやかましく入ってこられた近所のおじさんが、ハチクと根昆布をまた持ってきてくださいました。
「これはな、湯がいてから水につけておけば三日ほど持つ。こいつはこのひらひらしたところ、干したらそのまんまでもうまいぞ」
そんな話からだんだん脱線していって30分ほど玄関先で話し込んでました。息子さんが癌を患てらして「あいつの分、俺みたいなクソが癌に成ればよかったんや。何でこんな理不尽なんや」と涙を浮かべて嘆かれていたその方も、一年ほど前に癌を患いました。癌を摘出し人工肛門になっても山に入って木を切る仕事を今でもされています。
「なんや、死にかけたくせに会うたびに顔色いいやないか」
「そやろ?医者も驚いてるんや。おっかしいなー言うて首ひねっとる」
「やっぱりな、憎まれっ子世にはばかる言うのはほんとやな」
「なんやと。でもそやねん。俺みたいなクソいつ死んでもいいんやけどな。世の中おっかしいわ」
休日に慈海がいると酒臭い息を吐きながら「おおおーーーーーーい!にゅうどーーーーーぉ!」と夢おどろかす声をあげながら境内に入ってきます。
その方が帰られた後も立て続けにお客さんあり、先ほど予約されていた一座経のお参りを終えて、寺務所から境内を眺めています。雲ひとつなく気持ちよく晴れて、まぶしく境内が輝いてます。ふらりとお参りに入ってこられる方々の足音が心地よくて、ついついお念仏がこぼれます。
なんまんだぶ